脳梗塞

脳梗塞は小さなものであれば、無症状でおこることすらある。
軽い症状であれば、脳血管障害と気づかず放置し、後に重篤な症状がおこることがある。
ここでは最初に疑いをかけた脳梗塞について整理する。

脳梗塞とは

脳への酸素や栄養を供給する脳血管が閉塞した疾患。
結果として該当領域の脳細胞の壊死をもたらす。
突発的かつ症状の激しいものは、脳卒中と呼ばれる。

脳梗塞を疑う症状への判断基準として、脳卒中スケールというものがある。
脳梗塞を疑う症状の観察基準である。
片側麻痺であったり、運動障害、意識障害レベルなど、いくつかの種類のスケールがある。
その基準の中に、言語障害がある。
ろれつが回らない、というのは非常にメジャーな観察基準。

確定診断にはCT検査、新しく発生したばかりの梗塞にはMRIが有効である。

脳梗塞の分類

脳梗塞には、脳表面に存在する大きめの血管が狭窄して詰まるアテローム性梗塞と、脳内に入っていく細動脈が詰まるラクナ梗塞がある。
さらに心臓でできた血栓が脳血管を閉塞させる心源性脳梗塞。

アテローム性梗塞や心源性脳梗塞で半身がマヒしたりするのは、実は割合としては少ない。
多くの脳梗塞は、脳内の細動脈が徐々に詰まって、小さな梗塞を形成する
このような梗塞は、梗塞全体の半数近くを占める。
この場合の症状は、無症候性の物もかなり多く、あっても命にかかわるようなものは少ない。
症状としては、手足のしびれや、軽い麻痺など。
今回疑いをかけたのは、このラクナ梗塞。
軽い言語障害がおこることは珍しくない。
ラクナ梗塞は再発率が高い。
原因は高血圧だが、早めに対処しておかないと、いつ何時別の部位が梗塞を起こすか分かったものではない。

脳梗塞の治療

最近では卒中レベルでも、血管閉塞から4.5時間以内であれば、T-PA(組織トロンボプラスチンアクチベーター)という血栓溶解剤で、今まで通りの日常生活に戻れることが多くなった。(つい近年まで、3時間以内だったが、改められた)
だから異変を感じたら、1秒を争って救急車を呼ぶことが重要。
ただし、抗凝固剤などを服用していて、出血傾向がある場合などは適用できない。
病院への搬入時にお薬手帳など、薬剤の履歴がわかるものがあれば、スムーズに治療が受けられる。

ラクナ梗塞への治療は、高血圧への対処だ。
高血圧が持続し、微血管の動脈硬化が進行することでおこるため、血圧コントロールが主な治療となる。

代表的な降圧薬、アムロジピン

アムロジピン

問題の患者は

近くの大きな病院での診察を指示した患者。
素直にすぐ受診されたが、MRIなどの検査の結果、診断は、異状なしであった。

続きます